出典:谷地林業
生産者に直接伺った『岩手切炭』の深イイ話
こんにちは。『本当に良いものを世の中に広めたい』ブログをはじめてそんなことを考えている村のカズさんです。上の写真見て下さい。炭ですよ、炭。まるで花のようにキレイじゃないですか?
写真の炭は『岩手切炭』という国産の高級木炭です。私は普段から岩手切炭を使用していますが、他のキャンパーが使っている場面に出くわしたことがありません。
『これだけ良いモノなのだからもっと広く普及して欲しい。』こんな想いから、微力ながら岩手切炭の後押しをしたいと考えました。今回の記事では『岩手切炭』について、消費者・生産者双方の観点から深堀りします。ネット上の情報のよせ集めではなく、岩手切炭の生産者の方に直接お話を伺った貴重な内容です。
出典:谷地林業
インタビュー先は岩手県久慈市にある『有限会社 谷地林業』さん。以前からインスタを通じて繋がりのあった岩手切炭の生産者さんで、今回の記事作成にあたり、現場でしか知り得ない貴重な情報を提供していただきました。
インタビューに応じてくださった、谷地林業の渡部さん、今回はお忙しいところ本当にありがとうございました!
そもそも岩手切炭とは?
岩手切炭とは、天然のナラの木を原料に作られた、岩手産の木炭のことです。簡単に特徴をまとめると下記の通り。
- 火付が良い:備長炭などに比べ、簡単に着火することができる
- 火持ちが良い:外国産のマングローブ炭などに比べ、圧倒的に火持ちが良い
- 爆ぜにくい:安い炭は花火レベルに爆ぜるが、岩手切炭は爆ぜにくい
- 臭いがしない:外国産の炭のような、嫌な臭いが全くしない
- 形が揃っている:製造から袋詰めまで、熟練した職人の手作業で行っている
ホームセンターで3キロ400円位で売っているマングローブ炭がゴミに見えてくる。岩手切炭はそこらの炭とは次元が違う国産の高級炭です。
出典:谷地林業
上の写真は、岩手切炭とマングローブ炭を一緒に燃やしている画像です。写真中央のオレンジ色の炎を上げている部分が安いマングローブ炭。マングローブ炭には不純物が多く含まれているので、炎と煙を上げ、爆ぜながら短時間で燃焼します。
有限会社 谷地林業とは?
岩手県久慈市山形町に本拠を置く企業。木炭(岩手切炭)の製造に加え、建設・森林整備・ウッドチップ製造等の事業を展開しています。
岩手切炭の生産者は複数存在しますが、谷地林業には岩手県が認定した『チャコールマイスター』が所属しています。チャコールマイスターの卓越した技術により『内閣総理大臣賞』を受賞した、岩手切炭生産における唯一無二の企業です。
そんな岩手切炭がどのように生産されているのか。谷地林業の広報担当の渡部さんに問い合わせをしたところ、下記の8つの工程を経て生産していると教えていただきました。
岩手切炭の生産工程
①木ごしらえ
出典:谷地林業
ナラの原木を一定の長さ、太さに調整する工程。原木の長さや太さをそろえることで、一定の品質の木炭が生産できるようになります。
②詰め込み
出典:谷地林業
調整した原木を窯に搬入する工程。10〜14トン(約2000本)のナラの原木を一度に使用します。
③立て込み
原木を窯の奥から順に立て込む工程。高品質な切炭を作るため、原木と原木の間に隙間を作らないよう、びっしりと詰め込んで行きます。
出典:谷地林業
④着火
出典:谷地林業
原木を乾燥し、点火を順調に進めるため、窯の入り口で一定時間(冬で2日、夏で3日程)薪を燃やす工程。窯内の温度を230°C〜280°Cに上昇させ、じっくりと蒸気乾燥させたのちに着火させます。
⑤炭火操作
出典:谷地林業
煙突口を調整し、窯内の温度を適温にたもつ工程。ナラの原木を約7日間炭化させることで、炭素率の高い木炭に仕上げていきます。炭化が完了したら、窯内の空気を遮断して消火し、約7日間ねかせます。
出典:谷地林業
窯に原木を入れ、一旦火を入れてしまうと窯の入り口が塞がれるので、中の様子を見ることができません。職人さんが窯から立ち上がる煙の量・色・臭いなどで窯内部の状況を判断します。窯にいれる空気の量も職人さんが判断するので、『経験や勘』が重要になります。
出典:谷地林業
炭化の終盤、窯内部に程よく余熱が残った室内に、ネコたちが集います。冬に良く見られる名物『炭ネコ』です。
⑥炭だし
出典:谷地林業
出来上がった最高級の木炭を、ていねいに窯から搬出する工程。木炭に傷などを付けないよう、1本1本優しく運び出します。
⑦切炭
出典:谷地林業
消費者の要望にあわせて、木炭を切炭機で一定の長さに切断する工程。切断に機械は使用しますが、調整は職人さんが一つ一つていねいに行います。
⑧詰め・包装
出典:谷地林業
クラフト袋・ダンボール等に一定量を詰め込む工程。岩手切炭を開封すると、一つ一つの切炭が整然と並んでいることに気付きます。これは職人さんがテトリスのように手作業で組み上げているからなのです。
切炭は自然の産物なので、形状には個体差があります。よって、工場の作業のように機械で一発ポンッという訳には行かないのですね。
出典:谷地林業
岩手切炭は、約1ヶ月という期間をかけて生産されています。長い時間と熟練した職人の技と手間ひまを存分にそそぎ込んだ、芸術品と言っても過言ではない逸品です。
また、切炭作業と袋詰め作業を除く全ての業務は屋外での作業となります。夏の暑さ・冬の寒さといった厳しい環境下でも、熟練した職人たちの妥協無い仕事が、このクオリティを生み出しているのです。
岩手切炭と環境保護
出典:谷地林業
炭を使っているとき、ふと『環境に良くないのでは?』と考えてしまうのは私だけではないと思います。木炭を作れば森林がへり、炭を燃やせばCO2増加につながるからです。
結論、木炭の使用で環境を破壊することはありません。確かに燃焼時にはCO2を排出しますが、原木が成長する過程で何十年も光合成を行っているからです。なので木炭を使用してもCO2の総量はプラマイゼロ。むしろマイナスの環境にやさしい燃料なのです。
出典:谷地林業
また、岩手切炭の原木は樹齢20〜30年の若いナラの木を使用しています。若い木は、切っても切り株からまた新たな芽を出し、自然と森林を再生していきます。
森林は人の手を適切に入れないと死んでしまいます。生産者が木炭をつくり、我々消費者がそれを使う流れは、自然破壊ではなく環境保護につながる良循環なのです。
キャンプで料理を楽しむ
魅力あふれる岩手切炭。キャンプの調理時に使用すると料理がとても美味しく仕上がります。また、爆ぜにくいので安全に取りあつかうことができます。
出典:谷地林業instagramより抜粋
出典:谷地林業
肉を焼いて良し。
出典:谷地林業
パンや魚を焼いても良し。
出典:谷地林業instagramより抜粋
出典:谷地林業
アヒージョなどの少し凝った料理にも最適です。
キャンプで炭火の暖かさを楽しむ
出典:谷地林業
キャンプでは炭火で暖を取るのもオツなものです。炭火が奏でるかすかな燃焼音を聴きながら、静かで美しい炎を眺めるのは至福の時間です。炭火では薪のような盛大な炎は出せませんが、
- 薪より火持ちが良い
- 薪より金額がかからない
- 煙が発生しないので煙くない・体や服に臭いがつかない
といったメリットがあります。
岩手切炭が創り出す、心地よい静寂に包まれたキャンプの夜を、アナタも体験してみませんか?
まとめ
以前執筆した記事 買って良かったキャンプ道具(〜3,000円まで)
でも紹介した岩手切炭。生産者さんの手間ひまと真心が込められた、今どき珍しい商品です。マングローブ炭から岩手切炭に変えるだけで間違いなくキャンパーレベルが一つ上がります。
出典:nikucamp様instagram
価格はマングローブ炭よりいくぶん高めですが、コスパや安全面など、全ての点で岩手切炭一択と断言します。職人の魂がこもった逸品、岩手切炭。ぜひ一度体感していただきたいです。ちょっとした感動体験を味わえますよ。
今回特集させていただいた『有限会社谷地林業』様のHPはこちら。ブログ内では伝えきれなかった情報も多々ありますのでご覧ください。
ではまた!